2017年6月10日土曜日

貴船山と鞍馬山

叡山電鉄の二ノ瀬駅で下車。改札口がなく、車掌さんの横のピタパにタッチ。嵐電と同じです。




駅から坂を下って貴船川沿いにあるくと登山口発見。二ノ瀬という名前は平安時代の初め、惟喬親王(これたかしんのう)が市ノ瀬から移ってきたから二ノ瀬になったそうです。ユリは、ゆるりとした坂を意味し、夜泣き峠は同じく惟喬親王が子供の時に泣いたから。いろいろ勉強になります。





登山口にはいるとすぐにある守谷(もりたに)神社・富士神社。二つの神社がセットになっており、守谷は惟喬親王、富士はその母、静子を祀っている。
惟喬親王は、母の出目が藤原氏でなかったために、父である文徳天皇の第一子であるにもかかわらず、すぐに文徳の4番目の子供である後の清和天皇に位をゆずり、その後各地を転々として出家してしまったという。あまりめぐまれた人生ではなかったようです。



さて登山口からいきなり急こう配で階段を登ります。先行のカップルは、清滝まで行くということです。清滝と言えばこないだ登った愛宕山のスタート地点。すごい距離ですが一日で行くつもりなのかな?



向かうは滝谷峠(たきたにとうげ)。



ちゃんと金属のポールに活字で書かれたマイルストーン。おふざけの利いた愛宕山とは違います。



この地点は、貴船山頂上の東か西かのルートの分かれ道。ほとんど全員が桶の水峠に向かいました。が、私は目的地の滝谷峠へ向かいます。



すぐになぜみんながこのルートに向かわないかが判明。倒木が道を阻んでいますが行くしかない。



もうすく貴船山頂上付近。




このルートは貴船山頂上には行けません。この写真の左側を登れば頂上に行けるし、実際に登ったらしき足跡もあったのですが、すごい急こう配だし帰りの道に迷いそうなので登山初心者の私はあえて避けることを決断。それでもこんな道ですよ。



標識がちゃんとしているのに道があまり整備されていないのが残念。いよいよあと200メートル。




滝谷峠についたのですが、特に景色もなく、ちょっとガッカリ。これを直谷のほうにいくとさらに山奥に入っていくことになります。奥には芹生峠(せりょうとうげ)があり、貴船川の源流になっています。



貴船口に向けて下りルートです。





倒木がバタバタと進路を邪魔していて極めて歩きにくい。



でもしばらくすると、芹生峠から流れる貴船川源流の沢と合流します。美しくて美味しい水の音を聞きながら歩くと疲れは感じません。



ところどころ道が悪く、捕まれるようにロープがはってあります。



倒木は自然に倒れたのもあれば、このように意図的に伐採しているのもありました。何故伐採しているのでしょうか?



ふと見上げると豊かな緑が。種々の樹々が共存していますね。



ここで今回から持参したコッフェルとガスストーブを使って、貴船川源流水でコーヒーを作ります。実はこの前にすでにBIGカップヌードルを昼食にしています。


エバニューのECA278R。カップが二つついています。一人用です。中にガスボンベ(いちばんちっこい110サイズ)とガスストーブが入れられるので便利。チタンなので軽い。


ガスストーブはどれにするかものすごく悩みましたが、評価が高いのと静かなことでソトのSOD-310で。山の中は一応火気禁止なので、人が多い中で「ボーッ」と轟音を立てるとどうも落ち着かない気分になるので。



最近のコーヒーは良くできていますね。淹れやすいし味もすばらしい。景色も水のすばらしさもあって、いままで飲んだどんなコーヒーよりもうまかった。



自然の滝です。



沢だったのが小川になり、貴船川になったところで、山道から車道にでます。



最近数が少なくなってきている京都の木、桂(かつら)。京都市指定天然記念物。はずかしながらピンボケで、背が高くて上がよくわからなかったのですが...



すみません、ネットの拾い物ですが、桂の木とはこんな木みたいです。茂り方が横に広がって森林浴のエキスを放射しているようです。

葉は円くハート型。秋には黄色く紅葉するとのこと。幹は老木になると剥離するらしいです。だから複数の木が束ねたように見えるのですね。



貴船神社奥宮(おくのみや)。貴船神社の創建は仁徳天皇の息子である反正天皇(はんぜいてんのう)の時代と言われる。なお、貴船は、地域でいうときは「きぶね」とよみ、神社としていうときは「きふね」というらしい。ちゃんと使い分けている人はいるのかな?



これによると貴船神社は、玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)が大阪から淀川を逆流して貴船の地に着き、水神を祀ったのが発端だそうです。水神の名前はタカオカミノ神。愛宕山の神である火の神、カグツチ神の首をイザナギ命を斬って吹き出した血から生まれた神様とのこと。愛宕神社と貴船神社は火と水の関係だったのですね。


お祀りされている船形の岩。


岩の周りにいっぱい咲いていたとっても小さな花。調べてみるとユキノシタというらしい。多年草で雪の下でも咲く花だからだそう。天婦羅にすると美味しいとのこと。よく見ないと見落としそうな小さな花がこんなに綺麗だとは。



御神水です。この水はとてもおいしいということなので、持参したプラティパスに入れるがチロチロとしか出てこないのでいれにくい。手水をする人が次から次へとくるので一苦労でした。



ちなみにこれがピラティパス。水をいれないと薄っぺらだが入れるとその量に応じて膨らんでくるので無駄な空間がない。もちろんプラスティック臭いも皆無。



これは杉とのこと。



同じ根から生えた二本の杉で樹齢1000年とのこと。



川床料理を楽しんでおられます。右源太・左源太という店が奥宮から最初にある存在感のある店で、貴船神社の社家(しゃけ)をしてきた家系だそう。



本宮ではなんと結婚式の最中。大量に観光客が訪れる中でよくやるよなー、と思いました。恰好の写真撮影の標的になっています。ま、私もその一人ですが。そんな状況でもお賽銭をいれてお参りする人が行列になっているのもすごい。



桂の御神木。



すみません、着物姿を撮ってしまいました。貴船神社によく映えます。



さて、貴船山を越えてきてさらに鞍馬山にも登ります。貴船神社から西門に入り叡山電鉄鞍馬駅にいくルートです。



貴船山と違い、道がキレイに整備されているので初心者でも登れるとは言え、そこそこのハイキングです。



鞍馬山は自然保護が徹底されており、植生や地勢についての説明があります。チャートはグラフとかのChartと違い、Chertで、古代生物の骨などが堆積した地質。



不動堂。石燈のまわりをぐるぐる回ると御利益があるらしくみんな周っていました。



義経堂です。身を隠していた牛若丸が平家出身であることを見抜いた大天狗が源氏討伐の手助けをするという話です。

源義経こと牛若丸は、なぜ鞍馬にいたのか?それは平清盛と義経の父である源義朝(よしとも)の戦い(平治の乱)で義朝が敗れ、本来義朝の子供たちは全員殺されるはずが、義朝の妻であり牛若丸の母である常盤(ときわ)がまだ23歳で千人に一人の美女だったことから、清盛の愛を受けて、牛若丸を含む三人の幼児たちは仏門に入るという条件でそれぞれ寺に送られたということが背景にあったのです。

ちなみに義朝にとって常盤は愛人で、正室であった由良御前との間には頼朝(よりとも)がいました。頼朝も首を斬られる寸前だったのですが、清盛の母が、まだ13歳の美少年の頼朝をいたく哀れみ、あの手この手で清盛に嘆願したおかげで命拾いをしています。

歴史における女性の役割は大きいですね。




これは鞍馬駅にあった絵ですが、大天狗が稽古をつけているところ、かなり牛若丸が腕をあげてますね。



与謝野晶子が使っていた書院。



霊宝殿。鞍馬の自然などいろいろ展示があるのですが、時間がなく、迷わず三階の仏像へ直行です。



毘沙門天がすばらしいです。なかでもこの二体が圧巻です。これ以上の毘沙門天像を私は知りません。雲の上に立って、悪者がいないか厳しい表情で見つめています。体格といい顔つきといい、このような漢は今の時代いませんね。


目がよく観察できないのですが、まるで自分の浅はかさを見透かされているようで恐ろしい。撮影禁止なので、ネットで拾った画像です。




本堂金堂。



中門。



由岐神社(ゆきじんじゃ)。





魔王の滝。



ようやく鞍馬駅に到着。貴船山と鞍馬山の両方を一日で登るのはなかなかハードでしたが充実感がありました。



ルート地図です。


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